※このコラムは2019年11月25日に掲載したものを再編集したものです。
アコーステックデュオ にこいち 井指冬輝 松田央
基本情報
「にこいち」は神戸出身のボーカルの井指冬輝さんとギターの松田央さんの2人組アコースティックデュオ。
2007年に結成後2015年にメジャーデビューを果たします。現在はバレーボールチーム「堺ブレイザーズ」のオフィシャルサポーターや兵庫県朝来市観光大使などに就任されているほか、映画「種まく旅人〜くにうみの郷〜」をはじめ様々なイメージソングに起用されるなど活躍の幅を広げていています。
いつか警察にとめられるような路上ライブがしたい!
結成後、どのようにしたら人に「にこいち」を覚えてもらえるかを考えたといいます。その結果、
「毎週土曜日、あそこにいったら必ずいる二人組がいるよ」
「にこいちって言うらしいぜ」
「お、なかなかいいじゃん!」
と言われる事を目標にしたらよいのではないかという結論に達します。
そして神戸三ノ宮駅近くの歩道橋で路上ライブを開始します。季節によって時間は様々でしたが、かならず毎週土曜日に三ノ宮で歌う!という事を維持し続けました。
どうしたら人は足を止めて聴いてもらえるのだろうか。看板を大きくしてみようか、声量をあげてみようか、などという事を考えながら試行錯誤しながら、
「いつかこの歩道橋で足を止める人がいっぱいになって警察にライブを止められたい」
と考えながらライブをしていたと言います。
やる気に対するプライドが邪魔をする
音楽をされる方は常にプライドが邪魔をすると言います。
これはにこいちさんにとっても例外ではなく、路上ライブでは
「ダサい事はしない」
という事を常に考えていました。
彼らにとって「ダサい」とは
第1にコピー曲(カバー曲)を披露しないこと。
コピー曲の披露は「チート」であり、コピー曲を聴いて立ち止まってくれた方は、にこいちを聞くために立ち止まっているのはありません。
あくまで、「にこいちが披露した有名曲に止まっている」ので、自身の努力の結果ではないのです。
第2に1度やった曲を同じ日に2度することは無いこと。
2度同じ曲をしないのは、もし通り過ぎた人がまた戻ってきた時に同じフレーズを聞いたら「この人たちこの曲しかないようだ」という批判を恐れたのです。
この、為路上ライブは一通り曲を歌いきったら1~2時間で帰るという事が続きました。
路上ライブをする時、手っ取り早く足を止めてもらえる方法は有名曲をカバーすることです。
有名曲をコピーすれば足を止めて聴いてくれる方も増えますし、自身の歌が上手だということを簡単に知らせる事ができます。また2度同じ曲をしたとしても一度聞いた方が戻ってくる可能性も低く、その方がフレーズの1つを覚えている可能性も大変に低いのです。ただこれらは「ダサい」という一言で片づけられてしまったのでした。
大阪進出はしない。神戸の路上に立ち続けたワケ
路上ライブは多くの人が通る街中で行ったほうが効果的です。
関西でいえば神戸よりも梅田や難波の方が良いと言えます。なのでにこいちさんも梅田の路上に進出したことがありました。しかしにこいちさんはすぐ三ノ宮へ戻ってしまいます。何故梅田を離れる事にしたのでしょうか?
これは、梅田特有の「ルール」に嫌気がさしたからです。梅田は路上ライブをしたい人が多すぎるので歌える曲数が決まっており、その路上ライブを取り仕切る‘ドン‘なる人物が存在していました。にこいちさんはこの環境に身を置いたとしても、この売れない人達と仲良くなるだけで自身が売れるようになる可能性は低いのではないかと考えたのです。
この判断は結果として正解だったと話しており、今の活動が神戸を愛し、神戸を中心に広がっていくきっかけになりました。
デビュー後に変化したことはありますか?
「だれに曲を届けるのかが明確になった」
これまでは路上で、不特定の人に曲を届けていました。
デビュー後はそうではなく、誰にどんな曲を届けるのかが明確になったと言います。
にこいちさんは、神戸を中心として岡山・大阪方面で多くの主題歌やテーマソングを担当されています。最近であれば「堺ブレイザーズ」のテーマソング「BLAZE OUT」などが発表されました。
そして、最近のライブではコピー曲を披露する事があるようになりました。ファンの皆さんが喜んでくれるのであれば、ファンの方だけに披露する事は悪くないと感じるようになったのです。
メジャーデビューを目指して頑張るヒトへ
音楽で大成するためには多くの挫折への道を回避していく必要があります。
にこいちさんはメジャーデビューを目標にする人たちへのメッセージとして、自身の曲を書き続ける事だと教えてくれました。
これは、何のために曲をかいているのか、だれのために歌っているのか。という葛藤にさらされるからです。
それでも曲を書き続ければ継続することができます。にこいちさんが路上ライブを開始した初回は、多くの応援してくれる仲間が見に来てくれた中でのライブだったのでとても楽しかったと言いますが、2回目の路上ライブは1人も止まってくれない中で歌い続けたといいます。
その差に愕然とし、ショックを受けました。
それを続けると心無い言葉をかけていかれる方もおられます。
路上ライブで自身の曲しかしない!と決めたお二人にとって、新しい曲を書き続ける事は路上ライブを継続するために必要な事だったのかもしれません。
今は神戸を中心としているにこいちさんですが、井指さんは「にこいちを必要としていればどこへでも行く!」と断言されました。にこいちさんの今後の活躍が期待されますね!
にこいちofficialsite http://nikoichi.net/
井指冬輝さんtwitter https://twitter.com/nikoichi134
撮影場所:神戸・舞子公園
インタビュー場所:カントコトロ 神戸市垂水区東舞子町18-22 6F
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