生理用ナプキンは、避難所の備蓄にない場合が多く、災害時に不足し問題となるケースも。
避難所を担当するスタッフは、男性の場合が多いです。
「よりによってこんなときに」来てしまうのが生理。
避難所で生理になってしまったら、スタッフに相談しなければなりません。
しかし、生理への理解がない男性スタッフだと、ぞんざいに扱われる場合も。
平常時では気遣いできても、非常事態の場合は生理の深刻さを理解してくれない男性もまだまだ多いのだそうです。
「生理用ナプキンなんかより食べ物が必要だろう」「寝床の確保が優先だろう」
そんな考えから、防災備蓄倉庫に生理用ナプキンがないパターンはいまだに多くあります。
しかし、生理用ナプキンは吸水性に優れており、個包装のためとても清潔。
出血をともなうケガには、ナプキンをあてて止血も可能なアイテムです。
佐々木さんは語ります。
「トイレを我慢してくださいと言われてもできないですよね。生理も同じです。災害時の避難所に携わる男性には、生理は排泄と同じだと認識してもらいたいです。」
生理用ナプキンは老若男女問わず活用方法があるアイテム。
ぜひ全国の防災備蓄倉庫に完備しておいてほしいものです。
JOYは生理用品の無料配布を行っているため、女性だけの支援団体だと思われがちですが、男性も発達障害や家庭での悩みなどを相談できる総合支援団体です。
佐々木さんを含む女性理事2人は発達障害、佐々木さんはパニック障害を持つなど、精神疾患や精神科の様子にも理解が深く、アドバイスなども行っています。
例えば「自分はほかの人とちがうようで苦しい」「心の病気かもしれないが、精神科に行くのは不安」と言った相談にも、自分たちの体験談を話すなど、当事者だからこそできる相談者に寄り添った対応ができるのです。
佐々木さん自身が精神科にかかる前、自分では気付いていなかったけれど、明らかに様子がおかしい時期がありました。
そんなとき、福祉関係で働いていた友人が「精神科も内科と変わらないから、だまされたと思って1回行ってみな」と精神科へ行くことを勧めてくれたのだそうです。
「そのときのことを考えると、背中を押してくれる誰かがいるのといないのとじゃ、全然ちがうなって思うんです。」
精神科に行くのはハードルが高く、自分で何かがおかしいと自覚していてもなかなか勇気が出ない人も多いです。そんな人たちに、当事者の佐々木さんたちが「大丈夫だから行ってみな」と言葉をかけ、治療や悩み解決への第一歩をあと押ししています。
佐々木さんがはじめて通った精神科は、残念ながら薬に頼りすぎる治療を行う病院でした。廃人のようになってしまった佐々木さんを、「こんなにたくさん薬を出す病院はよくない」と、またしても友人が救ってくれたのだそう。
その後、しばらく病院を転々とした経験もあるため、精神科に行ってみたと話してくれる相談者がいれば、「薬は何をもらったの?」などを確認。
良くない病院だと判断した場合には、別の病院を勧めるなどの助言もします。
佐々木さんは
「当事者だから言えることがたくさんあるのが、JOYの強みなのかもしれませんね。」
と仰ってくださいました。
JOYは函館を本拠地に活動しています。
相談があれば直接訪問もでき、学校や公共施設に生理用品の無料配布しているため、函館在住の方からの相談は多くないのだそうです。
いま一番多いのは、実は東京からのSOS。
東京にもJOYのような支援団体はありますが、区ごとにルールや支援対象が異なり、相談できない人が多くいます。
例えば「中高生のみ」「30歳以下の女性のみ」「ひとり親家庭のみ」など、住んでいる区の支援対象外だった場合、どうしたらいいのでしょうか。
病気などが原因で働けない30歳以上の女性や、配偶者がいても生活が困窮している人を支援する団体が少ない、または在住区にないなどの理由で必要なサポートが受けられない人から、JOYに相談が来ています。
「実態を把握するためにも、東京に行って調査したいんです。」
佐々木さんは言います。
東京の支援団体と横の繋がりを作り、JOYに来ている東京からの相談を連携して解決していかなければならない、と考えています。
女性だけでなく、たくさんの人の心とからだに寄り添ってくれる、一般社団法人JOY。今後の活躍に期待しています。
一般社団法人JOY https://joy.or.jp/
ライター:海野よる twiiter
京都府出身。イベントMCやラジオDJを中心にメディア出演し、玉井祐衣と2人組YouTuberとしても活動
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